地域の受注環境と、これからの建設業・・・

 最近、地域の建設業を取り巻く受注環境について、これまで以上に厳しさを感じています。

 兵庫県の財政状況も厳しく、今後、公共投資についても抑制が避けられない状況にあります。財政を健全な状態に戻していくことは当然必要であり、その必要性は十分理解しています。しかし、地域で建設業を営む者として心配しているのは、その影響が単に工事量や会社の売上高が減るということではないということです。特に但馬のような地方では、都市部ほど民間投資が多いわけではありません。公共工事の減少は、地域建設業の経営や雇用に直接影響します。もちろん、仕事が少ないことを行政の責任にするだけではいけません。私たち企業自身も、民間工事への営業、地域外への展開、生産性の向上など、自ら仕事を確保する努力を続けなければなりません。会社を経営している以上、それは当然の責任です。

 一方で、毎年、採用の時期になると考えることがあります。建設業では若い人材が不足しています。若い人から選ばれるためには、給与や休日、職場環境を改善することはもちろんですが、それ以前に、会社に安定した仕事があり、安心して将来を託せる経営を続けていかなければなりません。若い人を採用するということは、その人を何年か雇用すればよいということではありません。経験を積ませ、資格を取得してもらい、一人前の技術者として育てるには長い時間がかかります。そのためには安定した受注と経営基盤が必要です。

 そして、会社側が環境を整える一方で、働く若い人たちにも、自分なりの目標を持ち、少しずつでも進歩しようという姿勢を持ってほしいと思っています。

 私自身、社会人としては兵庫県庁と現在の会社しか経験していません。県庁時代には厳しく指導されたこともありましたし、困った時には助けてもらい、多くの先輩や上司にお世話になりながら仕事を覚えてきました。昔と今では時代も働き方も違います。昔のやり方に戻ればよいとは思いません。しかし、会社が人を育てる努力をし、先輩や上司が支え、本人も目標を持って成長しようとする。この関係は、時代が変わっても大切だと思います。

 そのためにも、若い人が成長できるだけの仕事が地域になければなりません。さらに、地域の建設会社には災害対応という大きな役割があります。豪雨、台風、大雪、地震などが起きた時、道路を確保し、土砂を撤去し、除雪を行い、地域の復旧に動くのは地元の地域の建設会社です。人も機械も技術も、災害が起きてから急に用意することはできません。平時から一定の仕事があり、人材を雇用し、若い技術者を育て、機械を保有しているからこそ、いざという時に地域を守ることができます。兵庫県の現在の財政状況を一企業の経営に置き換えて考えることもあります。行政と企業経営はもちろん同じではありません。しかし企業であれば、経営が厳しい状況になった時、「なぜこうなったのか」「これまでの判断は正しかったのか」を検証し、その上で、何を削り、何を将来のために残すのかを考えます。県財政も同じだと思います。単純に支出を減らすだけではなく、将来の兵庫県に何を残すのか、県民の安全、安心のために何が必要なのかを考えられて財政健全化の取り組みをされるのかと思います。しかし、その過程で地方の建設業が弱体化し、若い人が育たなくなり、地域を守る力まで失ってしまえば、それを後から取り戻すには長い年月がかかります。地域のために必要な公共事業をさせていただきながら、安定した受注が、安定した経営につながる。安定した経営が、雇用と若い人材の育成につながる。そして、その人材と企業が地域を守る。

これは一企業だけの問題ではないと思っています。  私たち建設会社も自ら努力し、変わらなければなりません。同時に、5年後、10年後に誰が地域を造り、誰が地域を守っているのか。厳しい時だからこそ、目先だけではなく、その先を考えた公共投資と地域づくりが必要ではないか。最近、強くそう感じています。

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